公共フェリーは老人の極楽だ
ベルリンには、公共交通機関として利用されているフェリーが6路線あります。川や湖を横断するのに使われています。公共フェリーでは、定期券を持っていれば、別に乗車券を買う必要がありません。
ベルリンでは、乗車券は区間を指定して買うのではなく、有効エリアに応じて買います。公共フェリーが定期券が有効なエリアで運行されていれば、個別に乗車券を買う必要はありません。
そういうこともあって、ぼくは船に乗りたくなると、公共フェリーを乗りに出かけます。それだけでも、どこか遠くに旅行に出かけた気分になれます。
ぼくがよく利用するのは、Sバーンのヴァンゼー駅とアルトクラドウを結ぶフェリー、F10号線。片道20分で、一台のフェリーがその区間を往復して運行されています。
これまでは週末に出かけて、フェリーに乗ってきました。ところが今回、月曜日という週日にはじめて公共フェリーに乗りました。
まず最初に驚いたのは、ドイツ語よりも外国語をしゃべる乗客が多かったことです。夏休み時期ということもあって、観光客が多かったのでしょうか。公共フェリーが観光客にまで広がったのかと、関心してしまいました。
フェリーから降り、波止場すぐ前にあるビアガーデンで一休みすることにします。
のんびりとビールを飲んでいて気づいたのは、周りがおばあちゃん、おじいちゃんと高齢者ばかりなのです。グループで座っている老人もいれば、一人でビールを飲んでいるおじいちゃんもいます。
なるほど、老人たちはこうして公共フェリーでハイキングに出かけ、余生を楽しんでいるのかと、思いました。ビアガーデンでのんびるするのではなく、散歩をしたり、サイクリングをしたりするまだ足腰のしっかりした老人もたくさんいます。
ここは、老人の知られざる穴場のようなものなのです。関心していました。
かくいうぼくも老人の域に入っているので、週日に公共フェリー遊びをすると、気持ちだけはそうではなくても、現実としてしっかりと老人に仲間入りしていたことになります。
ぼくもいずれ、こうして毎日フェリー遊びをしにベルリンの郊外に出て、時間を潰すようになるのかなと、将来に思いを巡らせていました。
その後、波止場から少し歩いて大きな公園に入り、公園の中にあるカフェでケーキを食べてフェリーに乗って帰ることにします。
さて帰りのフェリーに乗ろうとして、驚きました。先ほどビアガーデンで見たおばーちゃんグループがフェリーから降りてくるのです。このおばあちゃんたち、ビアガーデンでビールを飲んだ後、フェリーに乗って往復してきたのだと思います。
その時は、老人は時間があるし、こうしてビールを飲んだり、船遊びするのは極楽だなあ、いいではないか程度にしか思いませんでした。ところがフェリーに入って、さらに驚くことがありました。来る時に乗っていたおばあちゃんカップルがぞの間、ずーとフェリーに乗ったまま往復していたようなのです。
フェリーに乗って行ったり来たりするだけで、船遊びを楽しんでいたことになります。それも、なかなかいいのかなあ。
ビアガーデンに入ると、お金を使います。しかしフェリーに乗ったままで舟お遊びをすれば、お金はかかりません。それも一つの手ですね。
老人たちはこうして、公共フェリーのおかげで楽しい週日を過ごしていたのです。公共フェリーは、高齢化社会に貢献しているともいえますね。
今から思うと、あの日はぼくにとり、将来の予行演習でもあったのですね。いずれぼくも、何かにつけてこうして公共フェリーで船遊びを楽しませてもらうようになるのでしょうね。あのおばあちゃん、おじいちゃんたちの姿が、ぼくの将来の姿でもあるのですか。。。
2022年7月25日、まさお
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関連サイト:
ベルリン交通公社BVG(公式サイト、ドイツ語)
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