省エネ、省エネ、省エネ

 エネルギー供給をロシアに依存してきたドイツ。ウクライナ戦争の影響で、エネルギーの供給が不安定になり、エネルギーがバカ高くなっている。

ベルリン大聖堂、聖マリア教会、テレビ塔、フンボルト・フォーラムは照明されず、消灯状態だった

 その結果、ベルリンでは省エネするために、観光名所や公共施設の夜間照明がこの2022年夏から中止された。今のところは、全体で150カ所がその対象になっている。たとえばベルリン大聖堂、聖マリア教会、テレビ塔、フンボルト・フォーラム、国立オペラハウス、首相府、連邦議会議事堂などは夜、暗いままだ。

 ブランデンブルク門の照明だけは、深夜0時にならないと消灯されない。

ブランデンブルク門は0時にならないと消灯されない

 これら施設の照明を消すには、これまでの照明の設定を手動で変更しなければならない。そのために、4、5週間の時間と約4万ユーロ(約600万円)のコストがかかったという。この額は、消灯の対象になった施設の年間消費電力料金に相当するという。

 そうした努力をしても、一人世帯で年間消費する電力の150世帯分しか節約できない。ベルリンで年間消費する総電力量の0.000015%にすぎないという。その意味で、ベルリンの名所の照明を消すのは、省エネをシンボリックに強調するためだけのものにすぎない。実際の省エネ効果はごくごくわずかだ。

 これから年末になる。ベルリンの各所でクリスマスのイルミネーションが灯り、街は華やかになるはずだ。しかしベルリン市はこれまでと異なり、クリスマス・イルミネーションに助成金を給付しないことを決定した。それに対し、クリスマス・イルミネーションの主催者側は寄付を集めて、何とか最低限のイルミネーションは実現したいとしている。

 今年2022年11月末からは、サッカー・ワールドカップがはじまる。ベルリン・ブランデンブルク門前恒例のパブリックビューイングはいつも、ドイツ最大のもの。しかしブランデンブルク門前では今回、パブリックビューイングが設置されない見込みだ。

 主催者側がその許可申請を引っ込めたという。冬で寒いのと、コロナの問題などを考えてのことだ。

 それに対して実施されるのは、毎年10月に開催される「光の祭典:Festival of Lichts」だ。主催者側は、戦争だからといって芸術や文化が制限されてはならないとする。ただ例年よりは、縮小した形で実施される。使用電力も、再エネで発電された電力にするという。そのために、再エネ認証証書付きで再エネ電力が購入される。

ガス灯には、日中も点灯しているものが多い

 エネルギー危機問題では、特に天然ガス不足が深刻だ。だがベルリンの街角では、ガス灯の中に日中も点灯しているものが目立つ。ただそれは、ガス灯が古いので、ガス灯の制御装置が壊れているか、ガス灯に制御装置がついていないからで、どうしようもないのだという。

 エネルギー危機の問題に対し、ぼくたち個人は生活において何ができるのだろうか。

 ベルリンではこれから、寒くなる。それだけに、個人としてどうすれば省エネできるのかは、難しい問題だ。ベルリンではすでに秋も深まり、朝晩の気温は数度にしかならない。日中でも、15度くらいにしかならない日もある。

 集合住宅では通常、気温が15度以下になると、暖房が入るようになっている。公共施設では省エネするため、室温は今、19度までに制限されている。そのためわが家の暖房も、室温19度を基準にしている。

 日中は、できだけ太陽の光を採光して、室内を暖めるように工夫するようになった。自宅でも、できるだけ厚着をするようになった。そのおかげで今のところ、ほとんど暖房していない。

 寒がりのネコのタロウには、厚着させるわけにもいかない。ぼくがベッドに入ると、タロウはすぐに足元に上がってきて、ぼくの足にくっつくようにして寝ることが多くなった。タロウもタロウなりに、努力しているのだろうな。

 友人、知人の間でも、わが家と同じように、できるだけ暖房しないようにしているという声が増えている。週にシャワーする回数も減らし、からだを温かいタオルでふくだけにしているという友人が何人もいる。

 個人でできるのは、これくらいだろうか。でもそれをたくさんの人が実行できれば、省エネ効果は大きいのではないか。個人個人で、自分で何ができるかを考え、それを実行してみてはどうかと思う。

 ベルリンではこれから、日が短くなり、暗い時間が長くなる。日中も、どんよりと曇っているほうが多くなる。こういうドイツの典型的な天候で、うつ気味になる人も多い。

 それに拍車をかけるように、省エネで世の中がより暗くなるのは、社会的にはよくない。その点は、行政ばかりでなく、個人でも考えて対応したい。

2022年9月26日、まさお

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関連サイト:
Berlin Festival of Lichts(ドイツ語)

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