発熱外来が隔離されていないってウソ?!

 日本では今、コロナ感染者数が激増している。第八波がまもなく到来する。マスクをしている人が激減しているドイツに比べ、日本ではどこにいってもほとんどの人がマスクをしている。それなのになぜ、感染が増えるのか。

 ぼくはドイツにいる時のように、外ではマスクをしない。必要ないからだ。しかし日本では、屋外でもほとんどの人がマスクをしている。ぼくがマスクをしていないので、ジロジロ見られることもある。

 日本ではコンサートにおいてもマスクをし、「ブラボー!」と大きな声を出して喝采してはならないという。野球やサッカー、大相撲などのスポーツを観戦する時も、声をだして声援してはならない。その代わりに、拍手なら認められる。

 東京で電車に乗った時、車内の窓がわずかに開いていた。換気のため、意図的に開けられているという。車内ではまた、声を出してしゃべらないようにと車内放送で注意される。

 ドイツでは、こんな規制は聞いたことがない。

 ワクチン接種についても、日本の第3回目、第4回目の接種率は、ドイツよりはるかに高い。第5回目の接種券がすでに、配布されている。

 それでいてなぜ、日本で感染が拡大するのか。全体の感染者数を見ても、日本の感染者数がドイツに比べて格段に少ないのに、医療サービスが逼迫し、薬も不足している。それもなぜなのか。

 ドイツにいて、日本の水際対策に合理性がなく、矛盾だらけだと感じていた。細かいところは必要ないと思われるくらいに、やたら厳しい。それでいて水際対策が機能したかというと、はなはだ疑問だ。

 水際対策によって、一般市民をいじめているだけとしか思えないところが多々ある。

 今回母が緩和ケア病棟に入り、面会がいろいろ制限されていることはすでに書いた(「コロナ禍のために緩和ケアに制限があっていいのか」)。

 ドイツの病院などの医療機関と介護施設では、抗原検査陰性証明があれば、簡単に面会や訪問が可能となっている。介護施設では、施設に検査キットを置いて、入場前に検査してもらっているところもある。

 それに対して日本では、ほとんど検査が求められない。検査してくるから面会を認めてほしいといっても、規則だから面会はできないといわれるのがオチだ。

 ドイツでは街のあちこちに、抗原検査のできる検査センターが設置されている。今でこそ有料になったが、これまではほとんどの期間、検査は無料だった。検査結果がメールでスマホに送られてくれるので、それを見せてコンサートなどに入ったものだった。抗原検査で陽性となると、その場でPCR検査もしてもらえた。

 政府がこれらのコストを負担していた。

 ドイツでは自分で検査する検査キットも簡単に手に入り、安い。ぼくはよく、自分で検査している。それに対して日本では、検査キットがそれほど普及していない。

 日本では、簡単に検査してもらえるのはドラグストアだけだ。正式な抗原定量検査やPCR検査は、病院などの医療機関でしかしてもらえない。その料金がまた、異常に高い。ドイツの数倍もする。

 感染を抑える基盤は、検査であるはずだ。その検査体制が、日本ではとてもずさんだと思う。

 さらに、信じられないことがある。

 それは、「発熱外来」といわれるコロナ感染の疑いのある人や、感染の疑いがあるためにPCR検査を受けるためにくる人を、病院などの医療機関で受け付けるところだ。

 母の入院している病院では、その発熱外来が隔離されていない。発熱外来にいく人は、時間外入口から入るようになっている。しかし発熱外来は、入院患者や職員が頻繁に往来する1階のエレベーターホールと病院の食堂から、10メートルくらいしか離れていないところにある。

 発熱外来前の廊下は待合室のようになっていて、そこにはベンチがいくつも並んでいる。そのエリアがまったく隔離されていないので、空気はそこから簡単に、人の行き来の激しいエレベーターホールに流れているはずだ。

 もう一つの問題は、病院の職員が時間外入口を利用していること。その入口からカードを使って入り、発熱外来のある前の廊下、つまり発熱外来の待合室横を通って、館内に入場する。ぼくが週末や祭日に母に面会する時も、この時間外入口から入り、発熱外来の横を通っていく。

 発熱外来がまったく、隔離されていないのだ。ドラグストアにおいても、検査は店内で行われ、検査エリアは隔離されていない。

 母の入院している病院は、公立病院だ。地方では、公立病院が地方の医療サービスの中心になっている。それでいて、こういう状態でいいのだろうか。ちょっと信じられない。

 感染拡大に対し、こうした無防備な状態はドイツではあり得ないし、想像できない。

 日本では、発熱外来にいける人がかなり制限されている。コロナの疑いがあるからといって、誰でもいけるわけではない。それが、人数制限をしているので、こうした甘い防止対策が講じられている要因になっていないだろうか。

 それに伴い、軽症だと見られ、自宅隔離を余儀なくされていた人の容態が急変し、死に至る可能性ももたらしている。

 発熱外来を隔離して拡大すれば、誰でも簡単にいける可能性が生まれ、重症化するのを防ぎ、死者も少なくすることができるはずだ。医療は本来、誰でも診療して人の命を守るのを目的としているのではないのか。

 日本の医療は今、その本来の目的を放棄している。

 母の病院ではまだ、感染が拡大してクラスターになったことはないという。でもそれは、これまで幸運だったからにすぎない。

 母の病院を見ると、面会を厳しくして、バケツに入る水を制限している。しかしバケツの底は、抜けてしまっている。ざるだ。それは、感染防止対策ではない。

 日本の感染防止対策は、目先の対策がやたらと厳しい。それに対して、根本的に行うべきことがずさんで、対策になっていないことがわかる。「木を見て森を見ず」ということか。

2022年11月22日、まさお

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関連サイト:
感染防止拡大へのご協力をお願いします!(厚生労働省)

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