若者たちと環境団体にも宿題

 気候危機問題には、世代間の問題があります。今の世代が責任を持って、できるだけ汚染のない環境を次の世代に残していきたい。

 それが、前回の記事のメッセージでした。

 若者たちは今、Fridays for Futureデモによって、気候危機に対して早く対策を講じるよう求めています。環境団体もそれを支持して、早急な環境政策を要求しています。

 でも、若者たちと環境団体にも宿題はないでしょうか。

 現代の若者たちは、デジタル化の申し子です。ただ、デジタル化によっていかに電力消費が増加しているか、若者たちは自覚しているでしょうか。検索エンジンで1回検索することによって、あるいはSNSに1回投稿したり、「いいね」することで、どれくらいの二酸化炭素が排出されるのか、認識したいと思います。

 1回の操作によって排出される二酸化炭素量は、それだけを見ると、少ないかもしれません。でも、1人当たり1日に何回操作するのか、さらに全世界で何人の人が操作するのかを考えてみてください。

 すると、デジタル化で排出される二酸化炭素の量が莫大なものであることがわかります。

 デジタル化が進んだ現在、デジタル化を否定するつもりはありません。でも、気候変動対策を求めるなら、電力消費の格別多いIT産業に対しても、再生可能エネルギーへの切り替えと省エネを求めていかなければなりません。

 また安いからと、若い世代はやたらに、格安航空会社を利用していないでしょうか。それについても、飛行機で移動することに反対して若者たちが空港をブロックするだけではなく、飛行機を使う若者たち自身の行動について若者たちの中で議論してほしいと思います。

 環境団体の宿題は、環境団体が野鳥保護などの理由から、風力発電の拡大にブレーキをかけている問題です。

 もちろん、野鳥など貴重な生物を保護し、生物の多様性を維持することは大切です。でも同時に、気候危機に対抗するには、石炭や石油などの化石燃料を再生可能エネルギーに切り替えることも大切です。そのためには、風力発電も必要不可欠です。

 地球温暖化によって、死滅する動物や生物が出てくる可能性も十分にあります。

 気候変動という問題に直面し、ここでは生物多様性の維持と再生可能エネルギーへの転換をどう両立させるかが問われています。

 ドイツ政府が2019年9月20日に気候保護法の基本内容を合意した後の23日、ドイツの環境団体代表が集まって、プレスハウスで記者会見が行われました。この問題については、その席上でもドイツのある記者から質問が出ました。

 ドイツ最大の環境団体の一つであるドイツ自然保護リングのニーベルト代表は、それに対し、環境団体が野鳥保護の目的から風力発電施設の建設に反対して提訴し、風力発電を妨害する形になっているのを認めました。

 ただ、それだけでは環境団体としては無責任で、それで済む問題ではありません。

 ニーベルト代表は「この問題は、環境団体に課せられた宿題である」として、「環境団体としてどう対応すべきか、内部で議論しなければならない」としました。

2019年10月13日、まさお

関連記事:
世代間の公平性を求める
独政府、気候保護法の基本内容を閣議決定
過去最大の環境デモ
デジタル化は電気の食いしん坊
なぜ、飛行機を利用する?

この記事をシェア、ブックマークする

 Leave a Comment

All input areas are required. Your e-mail address will not be made public.

Please check the contents before sending.