これから何に投資するのか(7)

自然にやさしい農業

 現在、ファーストフードのお店が街のあちこちに見られます。ハンバーガーをはじめとして、いろいろな種類のファーストフードが普及しています。肉と農産物が安価になったから、安価なファーストフォードが成り立っているといえます。

 どうして、肉と農産物が安価になったのでしょうか。

 それは、生産を工業化して、大量に生産しているからです。大量に生産するには、土地も必要です。そのために自然環境を破壊して、莫大な農地がつくられます。牛などの家畜も、肉や牛乳を生産する機械のように取り扱われ、残酷な条件で飼育されています。

 農業と畜産は本来、自然と動物があるから成り立つものでした。自然がぼくたちに食べるものを供給してくれるのです。でもそれが工業化され、化学的に生産された肥料や餌、あるいは抗生物質などの薬品を使って、人工的に生産が増強されます。

乳搾り機に乗せられた乳牛。機械に載せられて一回りすると、乳牛は機械から解放される。

 自然と動物の生命を無視した農業だといっても過言ではありません。それによって現在、毎日食卓には肉や乳製品が並びます。フォーストフードによって、いつでもどこでも簡単にお腹一杯に食べることができるようになりました。

 でも、その代償も大きいといわなければなりません。

 カナダのダルハウジー大の研究によると、人間に起因する二酸化炭素排出の約5分の1が畜産業によるものだといわれます。そのうちの80%近くが牛からのものです。牛のげっぷとおならに、たくさんのメタンガスが含まれているからです。

 牛肉1キログラムの生産過程で排出される二酸化炭素は、約16キログラム。豚肉1キログラム生産するのの4倍、鶏肉に比べると、10倍以上になるといわれます。

 二酸化炭素によって地球が温暖化し、気候変動が大きな問題になっていることを考えると、牛肉を中心に肉と乳製品の摂取量を減らすことが、気候変動対策になることがわかります。

 過去を振り返ると、ぼくたちは昔、そんなにたくさんの肉や乳製品を食べていたでしょうか。肉食中心のドイツでさえ、昔は肉を食べるのは週に1回程度だったといわれます。

 それを考えると、1970年代から1980年代に比べると、現在肉の消費量が莫大に増大していることがわかります。それは、単に畜産業が工業化され、大量に安価な肉が生産されているからです。

 それでいいのでしょうか。

 ぼくはそうは思いません。畜産を含め、農業は自然と両立する形で、自然にやさしく行うべきものだと思います。そのほうが、末長く、栄養が豊富でおいしいものが生産できます。

 工業化された畜産業と農業は、いずれ破綻します。自然に反することをしているからです。ぼくたちも、自然の一部であることを忘れてはなりません。

 ぼくたち消費者も肉や乳製品の消費を少なくし、できるだけ地元で生産された植物性の食品に切り替えることを考えなければなりません。そうしない限り、農業と畜産を自然にやさしく、自然と両立させることができません。持続可能な形で栄養が豊富で、おいしいものを生産することもできません。

 ぼくたちはすでに、そう切り替えなければならない時期にきているといわなければなりません。一刻の予断も許されません。

2020年7月19日、まさお

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