これから何に投資するのか(6)

消費者が農業を換える

 これまで、農業の脱グローバル化と脱工業化、地産地消化について書いてきました。さらに、農業と市民が連結する連帯農業というものが登場していることも指摘しました。

 今、農業が換わらなければならない時期にきています。でも、農業が換わるだけでは不十分。農業が換わるためには、消費者も換わる必要があります。

 たとえばスーパーマーケットで食料品を買う時、その生産地を見て買いますか。

地元産を表示されたトマト

 ぼくは、食料品は選ぶ時、必ずその生産地を見ます。同じりんごやトマトを買うなら、できるだけ近い所で収穫されたものを買います。輸入品なら、生産地表示ですぐに判断できます。同じドイツ産なら、ぼくの暮らすベルリンに近いところで生産された地元産を買います。

 通常、地元産のほうが輸入品よりも高い。でもこれまでの経験からすると、地元産のほうが確実に質もよく、おいしいはずです。なぜかわかりますか。

 それは、遠方から輸送されてくる野菜やくだものでは、輸送期間を考えて、まだ熟さない状態で早く収穫するからです。トマトが赤いのは、その輸送期間に赤くなったからです。収穫時はまだ青く、太陽のエネルギーを十分に吸収しないまま収穫されています。

 遠方から長い時間かけて消費地に届けられる野菜やくだものに比べると、地元産の農産物は取り立てで、新鮮です。太陽のエネルギーを十分吸収して熟しています。だからおいしい。栄養分も豊富です。そのほうが、健康にとってもいいと思います。

 栄養分が豊富で、おいしいものを食べると、食べても満足感があります。その分、食べ過ぎを防止することもできます。

 価格だけを見ると、遠方で生産された食料品のほうが安いのは確かです。安い労働力を使って、大きな農地で多量に生産しているからです。これが、工業化された農業の一面を示しています。

 でも、それを食べる満足度と健康への影響を考えると、割高の地元産を食べたほうが価格効果が高いことがわかります。価格の差はわずかです。そう思うと、決して高いわけではありません。目先の価格だけに惑わされてはなりません。

 遠方から農産物をたくさん輸送すると、エネルギーを多量に使います。それが、環境を汚染する一つの原因にもなります。農業による環境汚染を忘れてはなりません。

 消費者が目先の価格だけに捉われず、総合的に見て農産物を買うようになれば、農業も換わらざるを得なくなります。そのためには、消費者の意識改革も必要です。

2020年7月12日、まさお

関連記事:
これから何に投資するのか(5)/農業と市民
これから何に投資するのか(4)/農業の地産地消化
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