モーリシャス貨物船座礁事故に思う

 2020年7月26日(日本時間)、インド洋モーリシャス島沖合で、日本の貨物船「WAKASHIO」が座礁。その10日後の8月6日、船から多量の燃料の油が流出していることがわかりました。

 座礁現場は、水鳥の生息地として国際的に重要な湿地を保護するラムサール条約に指定された海洋公園の近く。モーリシャス政府は、環境非常事態宣言を出しました。

バルト海沿岸を飛ぶカモメ

 貨物船は、岡山県長鋪(ながしき)汽船の所有、商船三井が運航とあります。要は、船主が長鋪(ながしき)汽船で、乗組員の配乗のほか、運航中すべての管理をします。商船三井はその船をチャーターして、荷主と契約して貨物を輸送しているのだと思います。

 事故に関しては、船主に責任があります。これで、何か変だと思っていた疑問が解けたように思いました。

 ぼくが疑問に思っていたのは、座礁からの日本側の初動の遅さと無策です。事故を起こした後の日本側の対応が見えません。それは、事故に責任のある船主が大きな組織ではないからだと思います。事故に対応するノウハウを持っていないのだろうなと想像できます。

 本来だったら、日本政府も動いて国際的な体制を整えて緊急事態に備えるべきだったと思います。でも、そうした体制ができているとは聞いていません。燃料が流出して、大手の商船三井がようやく広報などを受け持ったのではないかと想像できます。それでようやく、情報が表に出てくるようになった。

 ドイツでは、船が座礁した段階で環境に壊滅的な緊急事態になる可能性があるとのニュースが出ていました。日本でそれが、ニュースになっていたのでしょうか。油流出後のニュースに関しても、日本では取り扱いが小さいように感じてなりません。

 問題は、地球のどこで事故が起ころうが、社会全体の環境の問題だということです。そういう事態に対し、ぼくたち一人一人がいつも敏感でいたいと思います。どこで起ころうが、世界全体の環境に関わる問題です。

 ただモーリシャスは、日本からは遠い所の話なんだとなと感じます。日本では、他人事という感覚なのではないかと思います。

 石油など化石燃料を燃料として物資を輸送すれば、今回のような事故はいつ起こっても不思議ではありません。グローバル化とともに、そのリクスは益々大きくなっています。

 その意味で、他人事ではありません。グローバル化が進めば進むほど、環境破壊は人類すべてに関わります。そのリスクを小さくするには、どうするべきのか。それは、各国の事情に応じて考えるしかありません。

 日本のように資源のない国は、資源を輸入しなければなりません。その結果、どうしても多量の物資を輸送します。となれば、できるだけ環境を汚染しないで、輸送する方法を考えなければなりません。そこに新しい技術の生まれる可能性が潜んでいます。物資の輸入に頼る国こそ、そうした技術に投資すべきだと思います。

 その技術で世界をリードすれば、自国にとってチャンスだと思うことも必要だと思います。

 もう一つ気になったのは、Youtubeなどソーシャルメディア上にアップされた日本で報道されたテレビニュースにおいて、「いいね」にも「やだね」にも投票されていることです。

 いい方に解釈すれば、「いいね」は多分、この種のニュースが出ていることに「いいね」したと思います。ただ投票した人たちはクリックした時、「いいね」がいいのか、「やだね」が適切か、立ち止まって考えたでしょうか。その点も、気になります。

 もちろん、この種のニュースに「いいね」か「やだね」の二者択一の選択肢が提供されていること自体も、どうかと思います。結局、ユーザーは慣習から機械的にどちらかを選んでいます。

 それも、「やだね」。

2020年8月09日、まさお

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