フクシマとFridays4Future
福島第一原発で事故が起こって9年になりました。
その後、日本では反原発運動が活発になりました。ただパッと火がついたけど、すぐに消えてしまったのは否定できません。ワラを燃やしたような感じです。
それは、ドイツでも同じような状況でした。事故後、ドイツでは過去最大の反原発デモがありました。でもドイツでは今、反原発デモをしても人が集まりません。
ドイツは脱原発を決定しました。今後廃炉を実施して、すべての放射性廃棄物を最終処分しなければなりません。最終処分地を住民参加で決定するプロセスが法的に決まり、進行しています。
しかしそれに対しても、一般市民の関心が低いのが現状です。最終処分は期間が長いだけに、世代間の問題です。でも、最終処分に関する催し物にいっても、若者たちはごくわずかしか見かけません。ごく一部の若者しか、最終処分の問題に関心を持っていません。
それに対して、気候変動の問題に対して対策を講じるよう求める若者たちの抗議運動Fridays for Futureには、たくさんの若者たちが集まります。若者たちは、そのために学校の授業までボイコットします。
この違いは、どうして起こるのでしょうか。
原発の問題は、気候変動の問題と同じように、将来ととても深く関わっています。でも、一方に若者たちは関心を持っても、他方にはほとんど関心を持ちません。
気候変動の問題に対応するため、原発を復活させようとする動きもあるだけに、原発問題に関心がないのは、問題だと思います。
だから、反原発運動を続けるのは必要です。
ただ、ドイツで脱原発が実現したのは、反原発運動だけのおかげではないことも忘れてはなりません。一般市民に、原発に代わるものがあることがわかってきたからでした。再生可能エネルギーが普及してきたことが、脱原発に貢献しました。
この時、一般市民は将来を見ていたと思います。だから、脱原発へと進むことができたのだと思います。それが、どうして続かなかったのか。
確かに、再エネは増えてきました。でも、再エネ化をさらに進めない限り、再エネへのエネルギー転換は実現できません。でもその問題は今、Fridays4Futureが批判するところになってしまっています。
最終処分は、まさしく将来に深く関わる問題です。でも、この問題は今、反原発運動でも、Fridays4Futureでも、重大さが認識されていないように思います。もちろん、最終処分候補地が挙がってくれば、加熱するのが目に見えています。
でもそれでは、本当は遅いのです。
反原発運動は、とかく後ろを向きがちです。でも反原発は本来、将来と深く関わっています。そのことを忘れてはなりません。
なぜ、将来が大切か。
将来ウィンウィン状態になることがわかれば、誰でも関心を持ってくれるようになります。脱原発となれば、将来自分のためになることをもっと自覚してもらうことが大切です。それを強くアピールできれば、一般市民の関心も強くなると思います。
それは、Fridays4Futureの運動がよく示してくれていると思います。
そのためには、前向きにいろいろな提案をしていくことも大切だと思います。
たとえば、脱原発したらどんな利点があるでしょうか。排出される放射性廃棄物の量がもうこれ以上増えません。最終処分の計画が立てやすくなります。
たとえば日本の汚染水の問題では、ぼくはこう思っています。
廃炉で排出される放射性廃棄物を汚染水を使ってコンクリートで固めてしまえば、汚染水を海に排水する必要がなくなります。除染によって大量に発生した汚染土も、その時に一緒にコンクリートに混ぜることができます。
その結果、地上に放射性廃棄物が増えてしまいます。そのほうがいいのか、あるいは海水を汚染するほうがいいのか。それは、みんなで議論しなければなりません。
こうしてオープンな議論を進めていくことも、一般市民の関心を高めると思います。
2020年3月15日、まさお
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