抗原検査は、老人ホームなどの施設で使ってほしい

 抗原検査のことは、すでにこの「さよなら減思力」でも書いたことがあります。

 日本では、抗原検査が主に国外から入国する人を対象に空港などで使われています。要は、入国に対する水際措置として使われているということです。

 これまで、日本への入国に対しては入国拒否対象地域が多く、日本国籍を持っていない外国人の入国が認められませんでした。日本国籍を持っておれば、当初入国時に空港でPCR検査を受けました。夏から、その検査が抗原検査に変わっています。

 ようやく一部の国に対して、商用目的であれば、外国人であっても72時間前に行われたPCR検査で陰性だったことを証明すれば、入国できるようになっています。

 日本では、ドイツとは比較にならないくらいに、入国に対する水際措置が厳しいといわなければなりません。そういう必要があるのかどうか、ぼくにはとても疑問です。

 というのは、空港の検査で陰性が判明しても、空港から公共交通を使って移動してはならない、その後は居住する実家や友人宅、そうでない場合は空港近くのホテルで2週間自己隔離することを求められるからです。

 検査をしてまで自己隔離を求めるのでは、検査の意味がよくわかりません。それなら、検査キットはもっと別の用途に有効に使えるはずです。

 ぼくは、抗原検査を老人ホームや障害者施設などコロナに感染すると重症になったり、死亡する可能性の高い人たちの住む施設の水際措置として使ってほしいと思います。病院の水際措置に使う必要もあります。

 施設の職員が施設に入る前に、抗原検査を受けるのが有効なのはいうまでもありません。もう一つ重要なのは、施設に入居している高齢者や障害者を家族に会えないまま孤立させないようにするために抗原検査を使います。

 施設に収容されている人たちを家族にも合わせずに完全隔離するのは、基本的人権の侵害です。

 施設訪問者が施設に入る前に抗原検査を受けて陰性を確認した後に、施設で家族と会えるようにします。そうしない限り、施設収容者の人権は保護できません。そうすることで、隔離による施設収容者の心理的な打撃も緩和できます。

 感染者数の動向に応じ、日本の施設でも入り口ロビーなどにプラスチックの仕切りを設けて家族と会える機会を設けるようになりました。でもそれでは、家族同士の直接の接触にはなりません。会える回数と時間も制限されます。

 そうではなく、家族が施設収容者を訪問する時に抗原検査で陰性を確認すれば、収容者の部屋にいって家族同士で会えるようにできると思います。

 そうしなくては、コロナのリスク対象者の人権ばかりでなく、精神上の健康も護ることができません。

 ぼくはそのほうが、空港の水際措置よりも、抗原検査をより有効に利用することになると思います。

(2020年10月30日、まさお)

関連記事:
新型コロナの検査、日独比較
ドイツの新型コロナデータの透明性と指標
第二波へのキーワードは、エアロゾル、スーパー・スプレッダー、クラスターか
新型コロナと共生する

関連サイト:
ロベルト・コッホ研究所の新型コロナ統計ダッシュボード

この記事をシェア、ブックマークする

 Leave a Comment

All input areas are required. Your e-mail address will not be made public.

Please check the contents before sending.