非営利経済(貧乏人経済)

 ノーベル平和賞を受賞したバングラデシュのグラミン銀行のことを書いた(「ソーシャル銀行が必要」)。「マイクロファイナンス」という仕組みで、底辺で生活する貧しい市民を対象にして低額で融資する。

 グラミン銀行の資産のほとんどが、借り手である貧困層によって所有されていることもすばらしい。こうして貧困層を金銭的に支援し、貧困層が自立して生計を立てることができるようにする。

 前述の記事では、低所得の市民層、貧困層のためにソーシャル銀行が必要なことを書いた。だが、それだけでは十分ではない。低所得でぎりぎりの生活しかできなくても、金銭的な支援があっても、その支援を得て、自立して経済活動を続けていけなければ意味がない。

 それは、貧困層による経済活動を拡大、成長させて、経済活動として循環させなければならないということでもある。

 バングラデシュのグラミン銀行の例からもわかるように、貧困層による経済活動では再生可能エネルギーが重要なポイントとなる。再エネは、誰にでも無料で手に入るエネルギー源だからだ。再エネを使って発電すれば、自分で使い、余った分を売電できる。

 そのためのインフラに投資する資金を融資すれば、後は貧困層でも経済活動を続けていくことができるはずだ。

 市民中心社会において、再エネがとても重要な要素になるのは、また別の機会に詳しく述べるとして、ここではもう一つ重要なことを挙げておきたい。

ベルリンで偶然入ったBREAKOUT Caféは、Nonprofitカフェだった

 それは、貧民層による経済活動ばかりでなく、市民による経済活動はNonprofit、つまり非営利を基盤とすべきだということだ。経済活動では、それによって貧困層が収入を得て生計を立てることができるようになることだけを目的とする。利益を得ることは考えない。

 利益が出ると、その利益を社会でどう分配すべきなのかを考えなければならない。それでは、資本主義における経済活動と同じだ。最終的に、利益は公平には分配されない。だから、利益は追求しない。

 ただ経済活動は、持続しないと意味がない。経済活動を持続可能にするためには、経済活動から得た収入の一部を、将来の経済活動のために積み立てておく必要もある。

 そういうと、日本のNPO法人などすでに非営利をベースとした経済活動があると反論されると思う。確かに、非営利経済活動はすでにある。ただここでは、貧困層による経済活動を中心にいっている。非営利活動すべてについて、いっているわけではないので注意してほしい。

 貧困層による経済活動が成り立つのか、という疑問も生まれると思う。そんな活動が増えて、社会は成り立つのかと疑問に思う人もいると思う。

 ぼくは、単に社会主義的、共産主義的なことを考えているわけではない。社会主義、共産主義に戻るべきだといっているわけでもない。資本主義を破壊すべきだともいっていない。

 貧困層の経済活動は、資本主義社会においてその中で拡大させるのが本筋だと思っている。利益をとことん追求する資本主義において、利益を追求しないで、貧困層が自立して生活できる基盤を築くだけの経済活動も成り立っていいと思う。いや、そうした経済活動もできるようにならなければならないと思っている。

 この点は誤解のないように、はっきりさせておきたい。

 貧困層による経済活動において、年金保険や健康保険などの社会保険はどうするのか、所得税はどうするのかなどの問題もある。これらの問題もはっきりさせておいたほうがいいと思う。ただここでは、底辺の経済活動を拡大して、貧困層が独立して生活できるようにすることの重要性tについて、書くだけに止めておきたい。

(2022年9月23日、まさお)

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関連サイト:
Breakout Caféのサイト(ドイツ語)

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