ハナコの死

 2016年12月24日は、いつものようにはじまった。ぼくが起きて、居間のドアを開けると、ハナコとタロウが勇んで駆け出してきた。すぐに、厨房に入って待っている。早く朝めしを食べさせてということだった。

 空になっているハナコとタロウの食器を洗った。いつものように、ハナコにはドライフードを、タロウには缶入りのフードを与える。ハナコもタロウもいつものように、一目散に食べていた。

 その後、ぼくたちが朝食にパンを食べた。それからぼくは居間でノンビリしていた。それからどれくらい経っただろうか。

 急に厨房で、連れ合いの三枝子が「ハナコ、ハナコ!どうしたの?」と、叫ぶ声が聞こえた。ぼくは何事かと、慌てて厨房にいった。

 すると、ハナコが椅子の上に乗せられ、倒れていた。もう舌が垂れ下がっていた。ぼくは三枝子に、「どうしたんだ?」と怒鳴るようにいった。三枝子は、「(ハナコが)急にウーといって、倒れてしまったの」という。

 ぼくは、もう手遅れだと思った。でも何とか呼び戻せないか。「ハナコ、ハナコ!」と、からだを揺すってみた。何の反応もなかった。

 その日は、クリスマスイブ。獣医はやっていないだろう。三枝子は、緊急用の獣医がいるはずだから、電話を掛けてみてくれという。ぼくは、ネットで電話番号を調べ、電話を掛けてみた。

 でも今緊急で出かけるところで、いけないという。後で直接きてもらうしかないといわれた。もうそれではどうしようもない、手遅れだと思った。諦めるしかなかった。

 ハナコは、もう逝ってしまったのだ。2歳半だった。

ハナコ

 ぼくと三枝子は、涙をこらえていた。ハナコがいつもいたキャットタワーの一番上にあるベッドを下ろし、その中にハナコを寝かせてソファの上に置いた。そして、タロウを連れてきて、ハナコが亡くなったことを知らせた。

 タロウは、ハナコの周りを一回りすると、離れていった。タロウは距離をおいて、ハナコのことを眺めている。ぼくは、タロウにもハナコが亡くなったことがわかったのだと思った。

 クリスマスイブには、お店は午前中しか開いていない。ぼくと三枝子は急いで、花屋にいった。白い花を買ってきた。それから、白いシーツの上にハナコをおいて、ハナコを白い花で一杯にした。そして、ハナコをシーツで包んだ。そして、ハナコをアイスボックスに入れた。

 ちょうどクリスマスの時。動物の墓地はやっていない。ハナコをどう埋葬すればいいのかわからなかった。埋葬できるまで時間がかかるだろう。ハナコの遺体をまず冷やしておいたたほうがいいと思ったからだ。

 アイスボックは、バルコニーにあるテーブルの上においた。そのほうが、冷えるだろう。ランタンも置いた。ランタンでは、いつもティーライトを灯しておいた。氷ボックスも定期的に入れ替えた。

 ぼくと三枝子は、ハナコの生まれたトーマスとアンネッテのところの庭に埋葬してもらうえないかと思った。すぐに、トーマスに電話を入れる。トーマスは、もちろんいいという。翌々日の26日にハナコを埋葬するため、トーマスのところにいくことにした。

 いよいよハナコを埋葬する時がきた。ぼくは、何か目印になるものがないかと、バルコニーにある石を持っていくことにした。アイスボックスを肩にかけ、Sバーンに乗った。

 トーマスのところでは、庭の端にハナコのために穴が掘られていた。もみの木の枝も準備されていた。ハナコを白のシーツから取り出し、中にあった白の花と一緒に穴にいれた。その上に土をかける。盛り上がった土の上に持ってきた石を置いた。その上に、もみの木の枝を載せた。

 ハナコとは、それでお別れだった。

 ハナコ、ありがとう。ハナコのおかげで、ぼくたちはとても幸せでした。ありがとう。

2020年10月12日、まさお

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