タロウとの新しい生活
ネコとはいえ、ハナコも家族の一員だった。ハナコがいなくなったことで、ぼくたちの生活はポッカリと穴が開いたようになった。
それは、タロウにとっても同じだった。ハナコが死んだ後、タロウもどことなく、これまでとは違った。でも特別に、ハナコを探すようなしぐさは見せなかった。タロウは、ハナコが死んでいなくなったことをわかっていたのだと思う。
ハナコが亡くなったことで、ぼくたちの思惑は2年半にして外れてしまった。ハナコとタロウの2匹を飼うことにしたのは、ネコを飼っても、できるだけぼくたち人間に依存しないようにしたかったからだった。
前いた雌のエルザは、19歳で亡くなった。それまで14年くらい1匹でいた。そのため、ぼくたちにべったり依存していた。
それは、ネコのためによくないと思った。できるだけそうならないように、複数飼ったほうがいい。そう思って、ハナコとタロウの2匹をもらってきたのだった。

ハナコとタロウに接する時は、それに気をつけていた。また嫉妬心が生まれないように、どちらかだけをより可愛がらないようにした。それには特に気を使っていた。
ハナコとタロウをもらってきたトーマスとアンネッテは、すぐにまた生まれるから、何匹でももっていけばいいともいってくれた。
でも、それも躊躇した。
一つは、タロウの餌の問題だった。ハナコとタロウにはともに、魚と牛肉にアレルギー反応があった。またハナコはドライフードしか食べないし、タロウは缶の餌と、うまく分かれていた。
新しいネコがくると、アレルギーのあるタロウがいるだけに、餌の管理が余計難しくなると思った。
その上、タロウには以前として湿疹が絶えない。でもそれをなめたり、かいたりしてハゲになるほとではなかった。
魚と牛肉の入っている餌はもちろん与えていない。さらに餌のグレードも上げたつもりだった。湿疹が出ない時もあった。でも急に、湿疹が身体のあちこちにできたりした。
これはもちろん、アレルギー反応だ。魚と牛肉はあげていないのに、どうしてなのか。新しいネコがくると、タロウに与える餌の管理がさらにできなくなる。タロウのアレルギーがもっとひどくなると思った。
ぼくたちは当分の間、タロウを1匹にしておくしかないと思った。
ただタロウだけとの新しい生活は、最初はちょっとぎくしゃくした。ぼくたち自身、タロウをどの程度べったりさせていいのかわからなかった。タロウもタロウで、ハナコがいなくなった分、ぼくたちに1匹でどう対応すればいいのか、わからないでいるように感じだった。
こうして、ハナコのいない生活がはじまった。
2020年11月02日、まさお