在宅看護がはじまる
母の在宅ケアには、訪問医と在宅看護チームがついている。ただ地元の県では、いずれにも緩和ケアの資格がないことはすでに書いた。
それに対して、ベルリンで看取った友人の在宅ケアでは、訪問医と在宅看護チームに緩和ケアの資格がなければならなかった。
確かに訪問医には、緩和ケアの資格のあることは大きいと思った。それに対して母の在宅看護チームに緩和ケアの資格がないのは、まったく気にならなかった。ベルリンの友人の場合も、在宅チームに緩和ケアの資格の必要性をそれほど感じなかった。
ベルリンの看護チームは、週2回しかきてくれなかった。それも毎回、友人の血圧を測って、容態について問診し、それを患者マップに記入して帰るだけだった。そのうちの1回において、1週間分の薬を薬ボックスに曜日と朝昼晩に分けて、入れていった。
友人の自宅があった区域では、緩和ケアのできる看護チーム機関が一つしかない。人手不足が深刻で、困っているはずだ。そういう事情から、必要最低限のことしかしてくれなかったと思う。
看護はすべて、男性が行っているといわれた。それは、女性には死に直面する仕事は厳しすぎ、長続きしないからだという。女性は看護チームとは別に、毎週1回シャワーに入るための介助にくるだけだった。
友人のからだに水や空気が溜まっていき、苦しそうなので、訪問医にリンパマッサージの処方箋を書いてもらった。理学療法士の手配は、ぼくがしなければならなかった。日本だったら、看護チームにお願いすればよかったはずだ。
週2回の在宅看護サービスでは、まったく不十分だった。そのため日本人の友人有志で、日本食を差し入れたり、掃除や洗濯、友人の世話など看取るためのサポートチームを別につくらなければならなかった。たくさんの人にサポートしていただいた。たいへん感謝している。
母の場合は、デーサービスに行く日と日曜日以外、いつでも来れるといわれた。それで今、週4回きてもらっている。それ以外に、週1回入浴介助もしてもらっている。4人のチームで、毎回交代で看護師さんがくる。毎回血圧のほか、血液中の酸素濃度などを測ってもらえる。
必要に応じて、リハビリやマッサージなどもしてもらえる。こちらからこうしてほしいと要望すれば、いつも柔軟に対応してもらえる。
もう一つとてもありがたいのは、母の話し相手になってもらえることだ。世間話をしながら、看護サービスをしてもらえるので、母の心理的なケアにもなっている。
日本の看護チームのほうが、患者や患者家族に対する気配りができていて、機転もきく。いつも、とてもフレキシブルに対応してもらっている。
それに対してベルリンの友人の看護チームは、人手不足でいつも時間に追われていた。気配りする時間的な余裕がなかった。精一杯のことはやってもらっていたと思うが、人手不足のよる問題はかなり大きかったと思う。これは、ドイツの看護・介護において、施設も含めどこにでも見られる状況だ。
それに対し日本では、看護チームに時間的、心理的な余裕がある。それが、患者に対して柔軟に対応してもらえる基盤になっていると感じた。
保険の面からいうと、母の場合は在宅看護としてすべて、健康保険の対象となる。それに対してベルリンの友人の場合は、週2回の看護チームの訪問は健康保険の対象で、シャワー介助は介護保険の対象だった。
ドイツの看護・介護の問題については、まだいろいろなことが書ける。ただ今回は、緩和ケアに関してだけ日独で比較しているので、この程度にしておきたい。
2023年2月06日、まさお
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関連サイト:
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