石炭の二酸化炭素と木の二酸化炭素
まさお:ハナコとタロウは、石炭が木の化石化したものだというのは知っていたね。石炭も木も、燃料としてエネルギー源になるのだった。木を燃やすと、二酸化炭素が排出される仕組みについても学んだ。
それでは、石炭を燃やすと、どうなるんだろう?
タロウ:どうなんだろって、どういうこと?
ハナコ:タロウ、まさおは本当はね、石炭からも二酸化炭素がでるのだろうかと、聞きたかったのよ。でもね、そういうと、二酸化炭素といってしまうことになるでしょ。だから、そういったのよ。
ま:ハナコには、見抜かれてしまったね。じゃ、どうなんだ。石炭を燃やしても、二酸化炭素は排出されるのか?
タ:そんなの、わかりきってるよ。石炭は木が化石化したものでしょう。だから、二酸化炭素も化石化されたものが出てくるんだよね。決まってるじゃない。
ハ:タロウ、ダメー!何いってんのよ!
ま:おおう。ハナコから、ダメ出しがでちゃったね。
ハ:石炭が木の化石でも、構成物質は変わらないの。石炭では、生物を構成する有機物質が化石化したのではないのかな。二酸化炭素は生物ではないし、炭素が結合されていても、無機物質でしょう。化石化するなんて、考えられないわ。
タ:ああ、そうか。確かに、二酸化炭素は生物ではないね。
ま:ということは。。。
ハ:石炭を燃やしても、二酸化炭素が出るっていうこと。
ま:そうだ。ハナコのいう通りだ。本当は、木が化石となっても、化石化した二酸化炭素にはならないことを、もっとしっかり説明しておいたほうがいいのだけどなあ。でもここでは、それが目的ではないので、この問題は勘弁してもらってもいいかな。
タ:もちろん。もちろんだよ。そうなると、話はもっと難しくなるでしょう。勘弁してよ。
ま:タロウは、相変わらずだな。
よーし、ここで今回の本題に入るぞ。
それでは、石炭を燃やしても、木を燃やしても、二酸化炭素が排出されるけど、石炭を燃やして排出される二酸化炭素と、木を燃やして排出される二酸化炭素で、何か違いはないだろうか。
タ:ちょっと待ってよ。そんなのおかしいよ。二酸化炭素は二酸化炭素だと、いったばかりでしょう。それで何だよ、その質問は。
二酸化炭素が空気中で、石炭を燃やしたものか、木を燃やしたものかと、区別できるとでもいいうのかな。
ハ:タロウ、その質問はグッドよ。わたしも空気中では、石炭を燃やして排出される二酸化炭素と、木を燃やして排出される二酸化炭素は、もう区別できないと思うわ。
ま:おお、きみちた、いいところに気づいたね。きみたちのいってることは、正しい。
でも、それぞれの排出量で考えてみないか。石炭を燃やして排出される二酸化炭素の排出量と、木を燃やして排出される二酸化炭素の排出量ということだ。
タ:排出量で?
ま:そうだ。きみたちは、カーボンニュートラルについても学んだよね。カーボンニュートラルとは、どういうことだった?
ハ:木を燃やして排出される二酸化炭素は、光合成によって木に吸収されるので、二酸化炭素の排出を実質的にゼロにする、ということだったわよね。
ま:そうだね。ゼロにするとは、ゼロと見なすということでもあるのはわかっているよね。そうなると、昔々光合成によって木に吸収された二酸化炭素は、今どうなるのだ?
タ:ああ、わかった。昔々木に吸収された二酸化炭素は、化石化された石炭に蓄積されているけど、今石炭を燃やして二酸化炭素が排出されても、その二酸化炭素を吸収してくれる木がないことになるのかな。
ハ:タロウ、すごいわね。わたしも、タロウがいった通りだと思うわ。
ま:タロウもハナコもいいね。実は、そうなんだ。
石炭を地層から採掘して、燃料として使っても、それによって排出される二酸化炭素を吸収するだけの木は、今地上にはもうないということなんだ。もちろん、二酸化炭素は空気中では区別できないので、石炭を燃やして排出される二酸化炭素については、その排出量分は木に吸収されないので、そのまま空気中に残るんだ。
この論理は、わかってもらえるかな。
タ:まさお、よくわかったよ。だから、今回はこれだけにして。
ハ:わたしも賛成!
ま:仕方ないね。今日はここまでにしよう。
ハ+タ:やっほお!
2022年3月25日、まさお
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