ドイツのコロナデモを検証する(2)

 前回、ドイツのコロナデモについて報告する日本人女性のYouTubeビデオのことについて書きました。そこに、デモ参加者数に関して情報操作があったことがわかりました。このビデオではさらに、ドイツのコロナデモ派が制作したデモ参加者数を検証するビデオを使って、ドイツの報道機関が8月1日のコロナデモの参加者数を2万人だとしているのは、情報操作だと主張しています。

 次に、このコロナデモ派のビデオについても、検証したいと思います。

 コロナデモ派のビデオは、ドイツの報道機関が撮影したデモ集会の俯瞰写真を検証しています。報道機関はその俯瞰写真と、同じ場所で1997年に100万人集まったラブパレードの写真を比較して、デモ集会では道路に人混みの間にかなり隙間があるので、100万人ものたくさんの人は集まっていないと断定しました。

 しかし、ビデオはそれを情報操作だと主張します。

 ここでは、デモ集会の俯瞰写真の撮影時間が問題になっています。ビデオは、写真で見える木の影の道路に対する角度から、写真がデモ集会の行われる2時間前に撮影されたものだと断定しました。

 デモ集会とラブパレードは、ブランデンブルク門の前をほぼ東西に走る6月17日通りで行われました。ぼくの家のバルコニーも、この6月17日通りと並行しています。そのため、太陽がどう動くのかと、影がどうできるのかを、ぼくもよく知っています。

 この地域では、太陽が6月17日通りの南を東から西に動くように見えます。

 6月17日通りをブランデンブルク門に向かって見ると、影は午前中、6月17日通りに対して横下向き(左肩下がり)になったようにできます。時間が経つとともに、影は上向きになり(左肩上がり)、北東方向に倒れていくように見えます。

 コロナデモ派のビデオは、報道機関が撮影した写真では木の影が6月17日通りに対してほぼ直角から95度くらい(少し左肩上がり)になっているとしました。それを太陽光発電団体の提供するサイトで、6月17日通りにおける太陽の位置を確認し、太陽が通りのほぼ真南にある時に木の影が通りに対して直角になると断定します。それを太陽光発電団体のサイトでシミュレーションすると、写真が撮影されたのは13時から13時半頃だと推定しました。

 それは、デモ集会の行われる2時間前だったとします。だから、デモ参加者はまだデモ行進している最中。集会場には、まだ参加者が十分集まっていなかったと断定しました。

 だから、報道機関の俯瞰写真は情報操作で、デモ集会には2万人ではなく、130万人集まったと主張します。

 本当にそうでしょうか。ぼくは、疑問に思います。

 ここで、木の影が通りに対して直角になるようにできるとはどういうことなのか、検証する必要があります。

 以下の写真を見てください。これは、ぼくが勝利の塔に登って、ブランデンブルク門方向を見て6月17日通りを撮影した写真です。ほぼお昼頃でした。撮影したのは5月なので、木の葉がまだ十分成長していません。その点、木の1本1本の影がどのようにできるのかがよくわかります。

勝利の塔からブランデンブルク門を見て、6月17日通りを撮影する

 木は上にいくほど幅が狭くなるので、太陽の光が真南から出ていても、木の影は通りに対して直角にはなりません。木影の上側は、木のプロポーションからして下向き(左肩下がり)になります。

 次に、道路の中心帯にいる人の影を見てください。直角より影が左側が下向きになっています(左肩下がり)。

 これは、6月17日通りが東西に走っていると書きましたが、実際には通りが少し北方向に上向きに走っているからです。たとえ太陽の光が南からまっすぐに差し込んでも、道路が少し右肩上がりなので、影は道路に対して直角よりも下向き(左肩下がり)に見えます。

 つまり、木の影の上側が通りに対して直角に見えるには、木のプロポーションが左肩下がりである上、通りが少し右肩上がりで影自体が通りに対して左肩下がりに見えるので、太陽の光が南西の方向からきていなければ、木の影は通りに対して直角には見えません。

 写真ではさらに遠近法の問題もあるので、写真上で映る影を分析するには注意が必要です。ですから写真上の影だけで、写真の撮影時間を分析するのは、そう簡単なことではないことがわかります。

 ただこれまでのぼくの説明だけでも、写真において6月17日通りに対して影が直角になるには、太陽が真南にあるのではなく、南西方向になければならないことがわかると思います。この地域では、お昼の時間帯を過ぎ、午後数時間経っていないと、太陽は南西方向に位置しません。

 報道機関の撮影した写真では、木の影が見えるのは写真下の一部だけです。木が成長しているので、木の影は木毎にできるのではなく、黒い帯のようになっています。その一部に、木が途切れている場所があります。

 コロナデモ派のビデオは、その木の途切れた部分に注目しました。影も当然途切れています。その途切れた黒い影の帯のうち、途切れたところの下にある影の上側だけが通りに対して直角になっているように見えます。コロナデモ派のビデオは、そこに集中して分析します。

 でもその他の影を見ると、木の幹のある影の芯部分が直角よりも上に傾いている(左肩上がり)ようにも見えます。これも、太陽が南西方向にあることを示唆します。

 ただ、写真からはそう簡単に断定できないことも、付け加えておきたいと思います。

 コロナデモ派のビデオは、人影も直角にできていると主張します。しかし、人影は写真では小さいので、影の角度を判断するのが難しくなっています。

 コロナデモ派のビデオで分析した木影は、木の並びの途切れた下の影の上側だといいました。木の並びが途切れたところでは、木のプロポーションが影に現れるはずです。すでに検証したように、木影のプロポーションは上にいけばいくほど狭くなるので、木影が通りに対して直角に見えるようになるには、木の幹のある木影の中心がある程度左肩上がりに傾いていなければなりません。それはすでに述べましたが、太陽が南西方向にあるということです。

 それを単純に、木影が通りに対して直角にできるのは、太陽の光が真南から来ている時だと断定することはできません。その点に、情報操作の意図を感じます。

 こうして見ると、報道機関の写真は、コロナデモ派のビデオがいうようにデモ集会の行われる2時間前に撮影されたものではなく、デモ集会の真っ最中の8月1日午後に撮影されたものだろうと推定できます。

 太陽が南西方向にない限り、木影の上側が通りに対して直角か、それよりも左肩上がりにはならないからです。

 報道機関は、ウソをついていないと思います。またコロナデモ派のいうように、8月1日に130万人も集まったという形跡を示すものがどこにもありません。

 コロナデモ派の俯瞰写真の分析も、巧妙な情報操作だといわなければなりません。当日の周辺での人の往来を見ても、ぼくが長い間周辺で暮らしてきた経験からすれば、8月1日のコロナデモに130万人も集まったとは考えられません。誇張もいいところです。

 ただ、情報操作があったからといっても、コロナデモ派の主張は変わらないと思います。コロナデモ派にとり、8月1日のコロナデモには130万人集まったのです。それが事実かどうか、コロナデモ派にはどうでもいいのです。コロナデモ派の主張するコロナはウソ、何かの陰謀だとの説についても、誰が何をいおうが、その思い込みは覆しようがありません。

 ベルリンからYouTubeビデオを発信している日本人女性も、同じだと思います。日本人女性はこのコロナデモ派のビデオを利用して、コロナデモがドイツ社会に広く、深く浸透しているのだと主張したいのです。

 ぼくがこれまで2回に渡って情報操作だといっても、それを信じない人もたくさんいると思います。

 問題は、こういう人たちにどう対応すればいいのかです。前回もいったように、単に無視するべきではありません。一つの社会現象として、扱わなければならないと思います。

 この問題については、今回も長くなったので、次回に回します。

 なお今回、コロナデモ派の使ったドイツ報道機関の俯瞰写真を掲載したほうが、わかりやすかったと思います。ただ版権上の問題から、ここではその写真を掲載しませんでした。その点、読者のみなさんには内容がわかりにくく、難しくなってしまいました。ご了解ください。

(2020年8月21日、まさお)

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関連サイト:
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