地道な市民 - 2021年12月9日更新

給与や報酬を得ることだけが労働ではない

労働を生活の糧を得るためだけのものとするのは、企業中心に見るからだ。それはもう、時代遅れになる。生活にゆとりと柔軟性ががあれば、ボランティア活動や市民活動で働く余裕もできるようになる。ベーシックインカムやクラウドファンディングが広がると、企業に雇用されたり、経済活動を行うことで給与や報酬を得ることだけが、労働ではなくなる。


急がば回れ

今、特に都市において社会のテンポがすごく早くなっている。車は早く走る。オンラインショッピングなど、ネットですぐに処理できるように見える。でもその結果、ぼくたちの生活と社会造りは、車やスマホ、ネットに左右されていないだろうか。それが、ぼくたちの生活のゆとりを奪っていないだろうか。さらにそれによって、エネルギーをより多く使っていないだろうか。今こそ、日本語の「急がば回れ」ということわざについて考えたい。


市民から村民へ

市民中心の社会では、個人の生活が公益と両立する。経済も環境保護と両立する。それが新しい市民中心社会の社会基盤となる。それに伴って地方の魅力が増し、地方が生き生きする社会構造、経済構造へと変わっていく。都市型社会から地方型社会、田舎型社会へと移行する。地域密着型の社会造りをするということでもある。そうして、都市と地方、自然と経済が両立し、都市の市民が村民になる。


地方分権化する

市民中心の社会造りをするには、政治や経済が市民の生活に近いところで判断できるように、社会を分権型、分散型にするのが一つの重要なポイントとなる。それによって、市民が政治や経済の権力と対等となる環境づくりが可能となる。


抗議文化とは何か

市民中心の社会では、市民が単に抗議デモを行うだけではなく、異なる意見を持つ市民同士がそれぞれ影響し合って、お互いに変わっていくだけの抗議文化が必要だ。


市民の軽いフットワークを生かしたい

市民のいいところは、政治プロセスに関係なく、自立で身軽に動けること。それをうまく利用して、市民が自宅の屋根に自由にソーラーパネルを設置できるようになればいい。そうして、市民が脱炭素を実現する原動力となる。


トップダウン型社会からボトムアップ型社会へ

脱炭素社会に向け、その中心になるのは市民だと書いた。それはまた、縦割り型のトップダウン型社会から市民を中心としたボトムアップ型社会に換わることでもある。そこでは、市民が国や企業、科学の専門家などと対等に扱われる。


社会を変えるのは市民だ

脱炭素化を実現するためには、社会が変わらなければならない。ただそれは、市民の手に委ねられている。市民一人一人が脱炭素化のため、自分には何ができるのかを考え、自らがその課題に取り組む。


第7章冒頭文

経済と産業、市民が両立する社会をつくる。そうしなければ、社会は持続しない。そのためには、どうすべきなのか。市民を中心に考えた社会をつくる。それが、将来社会のビジョンだ。