エネルギー選択宣言ブログ - 2022年1月30日更新

ガスはエネルギーだけど、その意味と影響は?

ウクライナ戦争を止めさせるため、天然ガスなどロシアからのエネルギー供給をストップするべきだと主張されている。でもその場合の影響を真剣に考えて、議論されているだろうか。そしてドイツ社会に、それに伴う痛みを負うだけの覚悟はあるのか。ぼくには、まだそうは思えない。


気候変動対策を社会的にデザインする

気候変動対策が本格化するにつれ、気候変動対策による市民の負担をどう分配し、公平にするかが、気候変動対策に対する市民のアクセプタンスを得る上で重要になる。それによって低所得者など弱者が生活できなくなるようでは意味がない。ドイツではそのため、気候手当てを給付することで、その具体案が議論されはじめた。


再エネの基盤はデジタル化

再エネとデジタル化は今、切っても切り離せない関係にある。再エネによる発電量がいくら増大しても、再エネ電力システムがシステム化され、熱供給と交通との間でもエネルギーを効率よくシェアない限り、再エネ100%化は実現できない。そのためには、社会が隅々でデジタル化されなければならない。それが、将来の技術革新のポイントになる。


天然ガスは持続可能か

欧州委は、原子力ばかりでなく、天然ガスも「持続可能」として、そのタクソノミー・リストに入れることを提案した。天然ガスは再エネへの橋渡しとされ、「持続可能」とするには厳しい条件が課せられる。それで、民間投資を天然ガスに誘致できるかはとても疑問だ。天然ガスを「持続可能」としようがしまいが、現実には投資に大きな差は出ないと思う。


夜行列車ルネッサンス

今ヨーロッパ大陸で、長距離の夜行列車が見直され、乗客が戻っている。夜行列車ルネッサンスが起ころうとしているともいえる。その背景には、気候変動で飛行機ではなく、時間がかかっても環境にやさしい列車に切り替えようとする乗客が増えていることがある。時間をより効率よく使うため、夜間眠っている時に移動して目的地に朝着く夜行列車が見直されている。


熱改革の主体は自治体

熱供給を再エネ化するのは、カーボンニュートラルを実現する上で一番の難題となる。その熱改革を実現するには、地元の環境と条件を熟知している自治体が中心になって熱改革計画を立案していく。同時に、熱改革のステークホルダーとなる自治体同士が熱改革情報を公開して、情報交換することも求められる。


生ゴミもおならも再エネ

農業で排出される「生ゴミ」の生物資源と家畜の糞を混合してメタンを発生させ、そのメタンガスをガスエンジンで燃焼させてバイオガス発電し、その排熱を埋設配管で地元の世帯に地域熱として供給すれば、カーボンニュートラルで熱電併給することができる。都市では残飯を回収して、バイオガス発電が可能となる。


昔は再エネで生活していた

熱供給においては、バイオマスを輸入するのではなく、住民の協力を得て、自分の生活の身の回りにある木質廃材や、森林管理のために伐採された丸太や枝、地元の庭や公園などから排出される枝など、木質の生物資源を燃料として熱供給に使うことを優先すべきだ。


空気中の熱を利用する

熱供給をグリーン化するため、ドイツではヒートポンプがボイラーの代替機として最も期待される。ヒートポンプは空気中の熱を集めて利用することから、再エネ利用とみなされる。